悲劇の序章〜20年以上の虫歯との戦い

あれは今でも忘れられない。
中学2年生の時、昼食時にキャベツロールパンを食べていた時のこと。
キャベツが虫歯の穴にジャストフィットして激痛が走った時のあの痛み・・・
思えばあの時、何故歯医者に行かなかったのだろうか。
歯医者には小学生の頃、よく通っていたような記憶がある。
楽しい思い出はすぐ忘れてしまうが、嫌な思い出はいつまで経っても忘れないもので、
抜歯した時の夜・・・抜く時のビリビリという抜歯音。
延々と診察台で待機される時の恐怖感。
歯医者から出た時はホッペがパンパンに腫れ上がった。
もう歯医者には二度と行かない!と決めた夜だったのかもしれない。
また私には両サイドに八重歯が生えており、歯医者に行くと抜かれるだとか、
八重歯の抜歯は相当痛いとか、廻りの友達から恐怖感を植え付けられていた。
ということは、歯医者に通っていた頃はまだ八重歯が生えていなかった時まで遡るのか。





はっきり言って虫歯との付き合いは本当に過酷でした。
いつしか取れてしまった詰め物の底には大きな虫歯が開いていたのです。
ご飯を食べる度に容赦無く虫歯の穴に入っては神経を突つき激しい痛みが走る。
そしていつしか左側でご飯を食べないことが習慣となりました。

時は流れ、虫歯は次第に欠けていき、とうとう根元で折れてしまった。
どうしよう〜という恐怖感はあったが、神経の痛みは無くなりこれで虫歯との戦いは終わったものだと思っていた。
歯が欠けて食べることに不便あったものの、虫歯を気にせず食べれることが何気に嬉しかった。
その喜びも束の間。
餅を食べている時に今度は、右上の詰め物が取れてしまったのだ。
今回の虫歯は不思議と神経の痛みは無かったが、その代わり食べカスが挟まり易く、
毎食後に爪楊枝が欠かせない生活を余儀なくされた。

完全に忘れかけていた左上の虫歯は、存在を想い出さすかのように時々痛くなる。
その痛さがまた半端ではなく、痛くなるにつれて歯医者に行こう、歯医者に行こうと思うが
不思議と時間が経つと痛みが和らぎ、歯医者へ行くのを止めていた。
まるで私の左上には魔物が住んでいるかのようだった。

さらに時は流れ、左上の虫歯は半年の1度の割合で痛くなるが寝れば痛みは治まる程度。
右上の虫歯は私の知らないうちに徐々に悪化していき、とうとう神経まで達してしまった。
もちろん冷たい物、熱いものを口にすると痛みが走る。
さらに右下の詰め物をしている歯まで痛くなる始末。
学生時代は、左側をカバーすべく右側で食べていたが、
今度は右側をカバーして左側で食べる習慣が続いていった。

歯が痛くなると、今度こそ歯医者へ行こう!と思う反面、どうせまた痛みは治まるだろうと弱い自分がいた。
歯が痛い時は、ネットで歯医者の情報や経験談を見て、
意外と歯医者って怖くないかも?と思ったが、
歯科以外にも基本的に病院にはあまりお世話にならない健康体なので、
病院に通う習慣が無かったのが長年歯医者に行けなかった理由なのかもしれない。
しかし、ついに時は訪れた。
ある日の夜、右側を気にしながらカレーライスを食べていると
福神漬が右上の虫歯にジャストフィット!
まさに中学生の時に食べたキャベルロールパンの悲劇を思い出させるかのような激痛が走った。
なーに、またしばらくすれば痛みは治まるだろう。
確かに痛みは翌日には治まっていた。
しかし、毎晩何かを食べるにつれて痛みが襲ってくるのだ。
おまけに右下の虫歯も右上と連動してるかの如く痛みが襲ってきて、
この20年近く虫歯と共に生活してきた中で、最も辛い日々だったかもしれない。
痛みとの戦いでフラフラ状態でご飯を食べるとまた痛みが来る。
果たしていつまで続くのだろうか・・・なんだか情けなくて涙が出てきた。

心のどこかで

もういいんじゃないの?

と聞こえてきたような気がした。






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